ハムスターの子宮蓄膿症について
ハムスターの子宮蓄膿症について
子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)とは、ハムスターの子宮内に膿(うみ)がたまってしまう病気です。主にメスのハムスターに発生しやすい病気で、進行すると命にかかわることもあります。
【原因】
- 細菌感染(膣や子宮内に入り込んだ細菌が増殖)
- ホルモンの異常
- 加齢や子宮内の炎症の慢性化
特に中高齢のメスに多く、繰り返す発情や子宮の構造の変化が関与していると考えられます。
【主な症状】
- 陰部から膿や血のような分泌物が出る(床材が汚れて気づくことも)
- お腹がふくらむ(腹部膨満)
- 元気がなくなる、食欲低下
- 体重減少
- 毛づやが悪くなる、動きが鈍くなる
※ ハムスターは小さく、症状が進行するまで外からわかりにくい場合もあります。
【診断】
- 視診や触診によって陰部からの分泌物や腹部の腫れを確認します
- 必要に応じて超音波検査やレントゲン検査を行い、子宮の拡大や液体貯留を確認します
【治療】
- 外科的治療(子宮・卵巣の摘出)
- 最も確実な治療法です
- 全身麻酔が必要で、体力・年齢・症状の進行具合によってはリスクもあります - 内科的治療(抗生物質・消炎剤など)
- 手術が難しい場合の対症療法
- 一時的に症状が改善することはありますが、完治は難しいこともあります
【予後(回復の見込み)】
- 早期発見・早期治療ができれば、回復の可能性があります
- 進行してからでは、命にかかわる重篤な状態に陥ることもあります
- 小さな体のハムスターでは、急速に悪化することがあるため、迅速な対応が重要です
症例紹介
症例は1歳のメスのハムスターで陰部から血が出ているという主訴で来院しました。
超音波検査にて子宮蓄膿症が疑われ、まず内科での治療を行いましたが、改善がなかったため外科手術を行いました。
子宮には膿がたまっていました。子宮と卵巣を摘出して終了です。

傷の状態も問題ありませんでした。
術後問題なく退院しております。ハムスターの陰部から血が出たり、血尿が出ている場合は早めに来院ください。