犬の乳歯について

犬の乳歯は、成犬の歯が生え揃うために一時的に存在する歯です。通常、乳歯は生後数ヶ月で抜けて、永久歯に生え変わります。しかし、時々乳歯が抜けずに残ってしまうことがあります。この場合、乳歯が永久歯の正常な生え方を妨げることがあり、さらにいくつかの健康問題を引き起こす可能性があります。

乳歯が残ることによる問題

  1. 歯並びの悪化:乳歯が残っていると、永久歯が正常な位置に生えてこないことがあり、歯並びが悪くなります。これにより、噛み合わせが不正確になり、食事や日常生活に支障をきたすことがあります。
  2. 歯周病や歯の疾患:乳歯が残ることで、歯と歯茎の間に隙間ができ、そこに細菌がたまりやすくなります。これが進行すると歯周病や歯肉炎を引き起こし、さらに感染が広がることがあります。
  3. 口臭や不快感:乳歯が残ることで、口腔内に不快な匂いや痛みを引き起こすことがあります。これが続くと、犬が食事を取るのを避けるようになったり、噛む力が弱くなったりすることもあります。

抜歯の必要性

乳歯が残っている場合、早期に抜歯することで、上記のような問題を防ぐことができます。抜歯は簡単な手術で、麻酔を使用して行うため、痛みや不快感はほとんどありません。抜歯後は、犬が新しい永久歯を健康的に育てることができ、長期的には口腔内の健康を守ることができます。

もし乳歯が残っていることに気づいた場合、早めに動物病院に相談し、抜歯のタイミングや方法についてアドバイスを受けることをお勧めします。

症例

症例は避妊手術で来院した犬です。多数の乳歯が残っていました。まだ若い犬ですが、中央の写真では、犬歯の永久歯と乳歯の間に既に歯石がたまり始めていることが分かります。このように、残存乳歯は永久歯と並んで生えるので、歯垢や歯石がつきやすい状態になってしまっていることが多いです。

乳歯の抜歯には麻酔が必要になるため、残存乳歯は避妊去勢手術時に同時に抜歯してしまうことが多いです。乳歯が抜けずに残っている場合はなるべく早めに動物病院に相談されることをおすすめいたします。