膀胱腫瘍について
膀胱腫瘍は、犬の膀胱に発生する異常な細胞の塊(腫瘍)です。膀胱は尿をためる役割をしている臓器であり、この腫瘍が発生すると、尿の排泄に影響を与えることがあります。膀胱腫瘍は良性(悪性ではない)と悪性(がん性)に分かれ、悪性の腫瘍は特に注意が必要です。
症状
膀胱腫瘍の症状は以下のようなものがあります:
- 頻繁にトイレに行きたがる
- 排尿時に痛がる、または血尿が出る
- 排尿が困難であったり、尿が出ないことがある
- 不安や苦しそうな様子を見せることがある
ただし、膀胱腫瘍は初期の段階では症状が軽度であることが多いため、早期に発見するのが難しい場合があります。
検査
膀胱腫瘍が疑われる場合、尿検査や超音波検査などを行います。BRAFという遺伝子検査を行うこともあります。
また、膀胱から採取された細胞を病理検査に出すことで診断に近づけることもあります。
治療
治療法は抗がん剤を使う内科療法と抗がん剤を使わない内科療法と外科療法があります。
外科の場合には内科療法を併用することが多いです。
症例紹介

症例は10歳のポメラニアンです。血尿や頻尿がみられ検査をしたところ膀胱に腫瘍が見られました。
消炎鎮痛剤による治療を行いましたが、腫瘍が大きくなっていったため、外科手術による摘出を行いました。
画像は術中写真で、膀胱の中にわずかに白く見えるのが膀胱腫瘍です。
膀胱腫瘍を摘出し残った膀胱を縫い合わせて膀胱の形に仕上げます。
病理検査では膀胱がんである移行上皮癌の診断がつきました。腫瘍は取り切れていましたが、移行上皮癌は膀胱内播種(膀胱の他の場所にがんが伝染ること)が起きやすいので術後は抗がん剤投与を数回行います。
症例は数日で退院し現在再発は見られていない状態です。
血尿や頻尿など泌尿器症状がありましたら早めにご相談ください。