肛門嚢アポクリン腺癌について

猫の肛門嚢アポクリン腺癌について

今回見つかったのは、**「肛門嚢アポクリン腺癌(こうもんのうアポクリンせんがん)」**という腫瘍です。これは、肛門のすぐ横にある“肛門嚢(こうもんのう)”という小さな袋の中の分泌腺から発生する悪性腫瘍です。猫ではまれな腫瘍ですが、発見された場合は注意が必要な病気です。

特徴と注意点:

  • 進行がゆっくりでも転移しやすい傾向があり、特にリンパ節やまれになどに転移することがあります。
  • 腫瘍自体が大きくなると、**排便がしにくくなる(便秘やいきみ)**などの症状が出ることがあります。
  • 一部のケースでは、腫瘍が体内のカルシウムバランスを乱す(高カルシウム血症)ことがあり、元気や食欲が落ちる原因になることもあります。

主な症状:

  • 肛門の近くにしこりや腫れ
  • 排便時に痛がる、いきむ
  • 便が細くなる
  • 食欲不振、元気消失
  • 体重減少
  • まれに多飲多尿(高カルシウム血症のサイン)

診断方法:

  • 視診・触診
  • 細胞診(しこりから針を刺して細胞を調べる検査)
  • **画像検査(レントゲンやエコー、CTなど)**で転移の有無を確認

治療について:

  • 手術での腫瘍摘出が最も基本的な治療となります。可能であれば、腫瘍と転移しているリンパ節も同時に取り除きます。
  • 完全に取りきれない場合や転移がある場合は、抗がん剤や放射線治療を検討します。
  • 高カルシウム血症がある場合は、並行して内科的な管理も行います。

症例紹介

症例は13歳の猫です。肛門の横に腫瘍があるとのことで、来院されました。

画像は肛門嚢アポクリン腺癌の猫の術前 術後 抜糸後 の画像です。術前の状態では尿道、尿道球腺、直腸に癒着しておりかなりの範囲を摘出する必要がありました。

術後の傷の治癒は良好で排尿、排泄も問題なく行えており元気に生活しております。

肛門周囲には悪性の腫瘍ができることが多いので、なにかしこりを見つけたら早めにご相談ください。