Contents
腫瘍の自壊について
腫瘍の自壊とは、腫瘍が自分自身の内部で壊れていく現象のことを指します。これは、腫瘍の成長があまりに早く、血流が追いつかなくなることなどが原因で、腫瘍内部の細胞が酸素や栄養素を十分に得られなくなるために起こります。その結果、腫瘍の一部が死んでしまうことがあります。このような過程は、腫瘍が自然に壊れていく一つの現象ですが、必ずしも良い結果に繋がるわけではなく、腫瘍が壊れることで炎症や出血など、他の症状が引き起こされることもあります。
自壊した腫瘍は、時に動物の症状に影響を与えることがあります。例えば、痛みが強くなったり、発熱や不快感が現れることがあります。
症例

症例は腫瘍が自壊した高齢の犬です。自壊した腫瘍からは血液や漿液が出続けており、血液検査の結果も異常値が出ていました。本人も食欲が落ちるなど、消耗している状態でした。

術後の状態です。腫瘍を摘出して皮膚を縫合しています。

首に包帯を巻いて手術は終了です。
高齢動物の麻酔について
今回の症例は約15歳の犬で心臓も悪い状態でした。健康な動物の麻酔に比べるとハイリスクですが、術前の検査をしっかりして、症例に合わせて麻酔を組み合わせること(マルチモーダル麻酔)で、安全性の高い麻酔を行いました。
この症例では麻酔からの覚醒も問題なく、当日の夕方には無事に退院いたしました。
その後元気と食欲は戻り、飼い主様は腫瘍に貼り付いた包帯交換が不要になり快適に生活できています。