うさぎの避妊手術について

うさぎにとって避妊手術(メスの場合は卵巣子宮摘出手術)は、健康と長寿を守るうえでとても重要な処置です。特に飼育下で暮らすうさぎにとっては、繁殖を目的としない限り、避妊手術を受けることが多くのメリットにつながります。

主な理由は以下の通りです:


1. 子宮の病気の予防

メスのうさぎは、年齢とともに「子宮腺癌(しきゅうせんがん)」という悪性腫瘍を発症するリスクが非常に高く、4歳以上のメスのうさぎのうち、50~80%が発症するとも言われています。
この病気は進行が早く、肺などに転移してしまうと命に関わることもあります。避妊手術を受けることで、このような子宮や卵巣に関わる病気を未然に防ぐことができます


2. 偽妊娠やストレスの軽減

避妊をしていないメスのうさぎは、偽妊娠を繰り返すことがあります。巣作り行動や攻撃性の増加などが見られ、飼い主との関係性にも影響を与えることがあります。避妊手術によって、ホルモンバランスが安定し、精神的なストレスの軽減につながります。


3. マーキングや攻撃性の抑制(行動面の改善)

ホルモンの影響で、尿でのマーキング行動や攻撃的な性格が出やすくなることがあります。手術により、落ち着いた性格になる傾向があります。


4. 望まない繁殖の防止

もしオスのうさぎと一緒に飼っている場合、避妊手術は計画外の繁殖を防ぐためにも重要です。うさぎは繁殖力が非常に高いため、すぐに頭数が増えてしまう可能性があります。


手術のタイミングについて

一般的に、生後5〜6ヶ月ごろから避妊手術が可能です。体調や成長具合により適切な時期は個体差がありますので、事前に相談ください。

症例紹介

症例は8歳7ヶ月のうさぎで体調が悪い、食欲が落ちているとの主訴で来院しました。

超音波検査をしたところ子宮に水がたまっており、子宮の腫瘍が疑われたため摘出手術を行いました。

子宮は拡張しており炎症が起きていました。

摘出後の子宮です。病理検査では高悪性度の子宮腺癌と報告がありました。今後転移など起こらないか経過を見ていく必要がありますが、子宮を取ることで元気食欲は回復しているようです。

うさぎのがんが疑われる場合、またうさぎの避妊手術をご希望の場合はご相談ください。