ホルモン性脱毛について
モルモットの脱毛には、栄養不足・皮膚病・ストレス・ホルモンの異常など、さまざまな原因があります。その中でも**ホルモンのバランスが崩れることによって起こる「ホルモン性脱毛」**は、特に注意が必要な原因のひとつです。
● よくある原因:卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)
メスのモルモットで比較的多く見られるのが、「卵巣のう腫」という病気です。卵巣に液体がたまり腫れてしまうもので、ホルモンの異常を引き起こし、脱毛の原因になります。
主な症状:
- 左右対称に毛が抜ける(特に腰から背中にかけて)
- かゆみはあまりない
- お腹が張って見えることがある
- 攻撃的になるなど性格の変化
- 乳腺の腫れが見られる場合も
● 診断と治療について
診断には、**触診、超音波検査(エコー)**などが有効です。もし卵巣のう腫が見つかった場合は、外科的に卵巣を摘出(避妊手術)することが基本的な治療となります。手術により、ホルモンバランスが正常化し、脱毛も次第に改善することが期待されます。
症例紹介
症例は4歳のメスのモルモットです。脱毛が見られ、卵巣の異常が見られるが他の動物病院では手術が難しいとのことで来院されました。

腹部に左右対称に脱毛が見られました。
超音波検査をすると腹腔内に腫大した卵巣があることが分かり、卵巣の異常による性ホルモン性脱毛を疑いました。

麻酔をかけた状態です。
開腹をして卵巣を探し出したところです。モルモットの卵巣は深いところにあるので、引き出しても消化管に覆われているのが分かります。
子宮と卵巣を出したところです。卵巣がかなり腫大しているのが分かります。
摘出した子宮と卵巣です。この組織を病理検査に出して診断をしてもらいます。診断は卵胞嚢腫でした。

閉腹をして終了です。この症例は麻酔からも問題なく覚醒しており、当日退院しております。
卵胞嚢腫の結果でしたので、脱毛との関連はありそうです。今後発毛があるかどうか経過を見ていきます。
モルモットの脱毛、腫瘍などありましたらご相談ください。

