犬の嵌頓包茎について
嵌頓包茎(かんとんほうけい)とは、犬の陰茎(ペニス)が包皮の外に出たまま戻らなくなってしまう状態をいいます。
通常、陰茎は興奮や排尿のあとに自然に包皮の中へ戻りますが、嵌頓包茎になると**包皮の入口が陰茎を締めつけて血流が悪くなり、腫れや痛み、壊死(組織が死んでしまうこと)**を起こすおそれがあります。
主な原因
・交配や性的興奮のあとに陰茎が戻らない
・包皮の開口部が狭い(先天的な形の異常)
・けがや炎症、異物、腫れなどによって包皮の動きが制限される
・去勢していないオスで興奮が頻繁に起こる
症状
・陰茎が出たまま戻らない
・先端が赤く腫れている、乾いている
・痛がる、舐め続ける、排尿がしにくい
・時間が経つと、陰茎の色が暗赤色から紫色、黒っぽくなる(血流障害のサイン)
応急処置と治療
応急的には、清潔な水や生理食塩水で陰茎を湿らせて乾燥を防ぐことが大切です。
包皮をそっと引き伸ばし、陰茎を中に戻せる場合もありますが、無理に行うと傷つけてしまうことがあります。
すぐに動物病院で診察を受け、潤滑剤や冷却による整復処置、必要に応じて鎮静や外科的治療を行うことがあります。
再発を防ぐために、包皮の開口部を広げる手術や去勢手術を検討する場合もあります。
症例紹介
今回の症例はかなり軽度の状態なのでうっ血することはないが、出っぱなしになっていることが頻繁にあるとのことでした。犬にはこのレベルの嵌頓包茎が多く、陰茎が乾くことでよりしまいにくくなってしまいます。
包皮口を切開し縫い合わせて包皮口を広げます。術後のチェックのときには陰茎がスムーズに戻るようになっていました。

