僧帽弁閉鎖不全症について
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)は、特に中高齢の小型犬に多く見られる心臓の病気です。
この病気は、**心臓の左側にある僧帽弁(そうぼうべん)**という弁がきちんと閉まらなくなり、血液が逆流してしまうことで起こります。
■ 原因
通常、僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、心臓が拍動するたびに開閉して血液が正しい方向に流れるようにしています。
しかし、年齢とともにこの弁が変形・変性し、完全に閉まらなくなると、血液が左心室から左心房へ逆流してしまいます。これが「僧帽弁閉鎖不全」です。
■ 主な症状
初期の段階では症状が出ないこともありますが、進行すると以下のような症状が見られるようになります:
- 乾いた咳(特に夜間や運動後)
- 運動を嫌がる、疲れやすい
- 呼吸が荒い、苦しそうにする
- お腹が膨らむ(重症例での腹水)
- 失神
これらは、心臓の機能が低下し、全身に十分な血液が送れなくなることにより起こります。
■ 診断方法
- 聴診(雑音の確認)
- レントゲン検査(心臓や肺の状態を確認)
- 心エコー検査(逆流の程度や弁の状態を詳しく確認)
- 血液検査(心臓の負担を見るための項目あり)
■ 治療方法
残念ながら、外科手術以外で弁そのものを元に戻すことはできませんが、内科的な治療(お薬)で進行を遅らせたり、症状を和らげたりすることが可能です。
主に使われる薬には以下のようなものがあります:
- 心臓の収縮を助ける薬
- 血管を広げて心臓の負担を減らす薬
- 利尿剤(肺にたまった水分を減らす)
定期的な通院と検査が重要です。病気の進行具合に合わせてお薬の種類や量を調整していきます。
■ 予後について
僧帽弁閉鎖不全症は慢性的に進行する病気ですが、早期に発見し、適切に治療することで、元気に長生きすることも十分可能です。
症状に気づいたら、できるだけ早く動物病院で検査を受けてください。