尿管閉塞 SUBシステムについて

尿管閉塞とは?

尿管とは、腎臓で作られた尿を膀胱へ運ぶ細い管です。
猫ではこの尿管が結石(シュウ酸カルシウム結石など)や炎症性物質によって詰まることがあります。これを「尿管閉塞」といいます。

尿が流れなくなると、腎臓の中に尿がたまり、腎臓が強く圧迫されます。
その状態が続くと、急性腎不全を起こし、命に関わる危険な状態になることがあります。


主な症状

  • 元気がない
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 体重減少
  • 尿量の変化
  • 痛みでじっとしている

片側のみの閉塞では症状が軽いこともあり、血液検査や超音波検査で偶然見つかることもあります。


診断

  • 血液検査(腎数値の上昇)
  • 超音波検査
  • レントゲン検査
  • CT検査(必要に応じて)

閉塞の位置や重症度を評価し、治療方針を決定します。


治療について

尿管閉塞は自然に改善することは少なく、外科的な治療が必要になることが多い疾患です。

治療には主に以下の方法があります。

① 尿管結石摘出手術

詰まっている結石を直接取り除く方法です。
ただし、猫の尿管は非常に細いため、再閉塞や狭窄のリスクがあります。

② SUBシステム(皮下尿管バイパス装置)

現在、広く行われている治療法のひとつです。

SUB(Subcutaneous Ureteral Bypass)とは、
腎臓から膀胱へ人工のチューブを通し、尿の通り道を新しく作る装置です。

閉塞している尿管を無理に広げるのではなく、バイパスを作ることで腎臓を守る治療法です。


SUBシステムの特徴

  • 高い成功率
  • 再閉塞のリスクが比較的低い
  • 腎機能の改善が期待できる

一方で、

  • 全身麻酔が必要
  • 定期的なフラッシュ(装置の洗浄)が必要
  • 長期管理が必要

といった点があります。


治療後について

早期に治療できれば、腎機能が回復する可能性があります。
しかし、閉塞していた期間が長い場合、腎機能が完全には戻らないこともあります。

SUB設置後は、

  • 定期的な通院
  • 血液検査
  • 装置の洗浄

が重要になります。

 症例紹介

症例は他県の病院からの紹介で来院しました。来院時の血液検査で BUN 222 CRE15.91で腎臓はかなりダメージを受けていることが分かりました。

術前の超音波検査で腎盂の拡張はわずかではあるものの、腎盂圧の上昇の可能性が認められたためSUBシステム手術を検討することとしました。

術中所見では、左腎は機能不全に陥っている可能性が高く、右腎が尿管閉塞を起こしていることにより腎数値の悪化が起こっていると推測されました。今回の症例では、尿管結石の摘出よりもSUBシステムの設置のほうがより適していると考え、SUBシステムを設置いたしました。

腎臓にバイパスの管を入れたところです。

腹腔内のバイパス経路と膀胱です。

腹腔内のバイパス管接続部分です。

術前(来院時)術後1日術後2日(退院)
BUN (mg/dl)222.089.425.2
CRE (mg/dl)15.914.481.63

術前術後の腎数値の経過です。今回の症例では閉塞から少し時間が経っていたものの、術後は腎数値はスムーズに正常値に下がり、術後2日で退院となりました。術前に無かった元気や食欲も入院中には回復しました。

尿管結石は閉塞してから時間が経つと腎臓の機能が元に戻らなかったり、最悪の場合数日で亡くなってしまうこともあります。閉塞が疑われる場合は早めに来院ください。

過去の症例はこちらを御覧ください