猫の耳垢腺癌について

猫の耳の中には「耳垢腺(じこうせん)」という、耳垢(みみあか)を分泌する小さな腺があります。この耳垢腺から発生する「耳垢腺癌」は、耳の皮膚にできる悪性腫瘍の一つです。比較的まれな病気ですが、高齢の猫で見られることがあります。

主な症状

・片方の耳の慢性的な炎症やかゆみ
・耳からの出血や異常な分泌物
・耳の内側にできもの(腫瘍)を感じる
・耳を気にして掻く、頭を振る
・においの強い耳垢

これらの症状は、耳の感染症やポリープなど他の病気でも見られるため、正確な診断が必要です。

診断方法

・耳鏡検査や視診
・腫瘍の細胞を採取して病理検査(細胞診・組織診)
・レントゲンやCTなどによる転移の確認(肺やリンパ節など)

耳垢腺癌は、周囲の組織に浸潤しやすく、リンパ節や肺へ転移する可能性もあるため、早期発見・治療が重要です。

治療について

最も一般的な治療法は外科手術による腫瘍の切除です。
腫瘍の大きさや場所によっては、耳の外耳道を一部または全部切除する手術(外側耳道切除術/全耳道切除術)が必要になることもあります。

腫瘍の進行度によっては、手術に加えて放射線治療抗がん剤治療を行うことがあります。

予後(治療後の見通し)

腫瘍が完全に取り切れた場合は、良好な経過をたどることもあります。ただし、再発や転移の可能性もあるため、定期的な経過観察が大切です。

症例紹介

症例は11歳の猫です。右耳を痒がる、血が出ているとの主訴で来院しました。耳の中に腫瘍があったため一部を摘出し病理検査に出したところ耳垢腺癌との診断だったので摘出手術をしました。

腫瘍はかなり奥の方からでていてほぼすべての耳道を摘出する必要がありました。

顔面神経を耳道から剥離して耳道を摘出していきます。

手術によって全耳道を摘出した後、耳介の形成手術を行って手術終了です。

摘出した耳道です。耳道の軟骨を開くと中には腫瘍があることがわかります。

抜糸後です。傷も治ってきて食欲も出てきて元気になりました。毛が生えると耳道の摘出をしていることがほぼわからないようになってきます。
今回の症例では腫瘍の完全切除が出来ていたので、定期チェックのみ行っていくことになります。

耳になにか異常がありましたら早めにご相談ください。