歯石について
猫の歯石は、歯にたまった歯垢(しこう)が固まって石のようになったもので、特に歯と歯茎の境目にできやすいです。歯垢は、食べ物の残りカスや細菌が混ざり合ってできたものですが、これが放置されると時間とともに硬くなり、歯石に変わります。歯石が進行すると、歯周病や歯根膿瘍など、口腔内の深刻な問題を引き起こす原因になるため、早期に対応することが大切です。
原因
歯石の主な原因は、猫が日常的に食べるものに含まれる糖分や歯垢を放置することです。具体的には:
- 食事の内容:湿ったフードやおやつを与えている場合、歯に食べ物が残りやすく、歯垢がたまりやすくなります。乾燥したフード(カリカリ)や硬いおやつは、歯を擦って歯垢を取り除く助けになるため、歯石の予防に役立ちます。
- 歯磨き不足:猫は自分で歯を磨くことはないため、飼い主が定期的に歯磨きや口腔ケアを行うことが必要です。歯磨きが不十分だと、歯垢が蓄積し、歯石に変わります。
症状
歯石が進行すると、以下のような症状が現れることがあります:
- 口臭:歯石が原因で口臭が強くなります。特に歯周病が進行している場合、臭いがひどくなることがあります。
- 歯茎の赤みや腫れ:歯石が歯茎に刺激を与え、歯茎が炎症を起こすことがあります。赤く腫れて痛みを伴うこともあります。
- 食欲の減少:歯や歯茎が痛むと、猫は食事を避けることがあります。特に固いものや噛む力が必要なものを食べるのが難しくなることがあります。
- よだれが多くなる:歯石によって口腔内に感染が広がると、よだれが増えることがあります。
- 歯の変色や欠け:歯石がひどくなると、歯自体が変色したり、欠けてしまうことがあります。
診断
歯石は、獣医師が猫の口腔内を検査することで発見できます。進行した場合、レントゲン検査を行って歯の状態や歯周病の進行具合を確認することがあります。また、歯茎の状態や歯肉の炎症をチェックし、治療が必要かどうかを判断します。
治療方法
歯石がついてしまった場合、専門的な処置が必要です:
- 歯石除去:歯石がたまる前に予防することが最良ですが、すでに歯石がついてしまった場合は、獣医師による歯石除去が必要です。これには、全身麻酔をかけて歯をきれいにする方法が一般的です。歯の表面や歯茎のラインをクリーニングし、歯石を完全に取り除きます。
- 歯磨き:歯石除去後は、飼い主が定期的に歯磨きを行うことが重要です。専用の猫用歯ブラシや歯磨き粉を使い、毎日のケアを心がけましょう。歯磨きが難しい場合は、歯磨きシートや歯石予防のためのおやつを使う方法もあります。
- 歯周病の治療:歯石によって歯周病が進行している場合、歯周病の治療が必要です。これには、歯茎の炎症を抑えるための薬や、歯茎のケアが含まれます。

症例紹介
症例は食欲が落ちた猫です。奥歯には大きな歯石が付いています。この歯は歯根まで感染が広がっていたため抜く必要がありました。抜歯後は食欲は元に戻っています。
猫の歯石は放置すると歯周病や感染症を引き起こし、健康に深刻な影響を与える可能性があります。口が臭う、食欲が落ちた、ウエットフードは食べるがドライフードはあまり食べないなど、何か普段と変わったことがありましたら早めに来院ください。