猫の毛球症について
猫の毛球症(もうきゅうしょう)は、猫が自分で毛づくろいをする過程で飲み込んだ毛が胃や腸にたまってしまう状態を指します。猫は舌を使って毛を舐め取り、体の清潔を保ちますが、その際に毛が飲み込まれ、消化されずに毛球(毛の塊)として胃に残ることがあります。これが毛球症の原因となります。
毛球症の主な症状:
- 嘔吐: 毛球が胃にたまると、猫はそれを吐き出そうとして嘔吐することがよくあります。毛球が大きくなると、嘔吐が頻繁になることもあります。
- 食欲不振: 毛球が消化管に影響を与え、食欲が低下することがあります。
- 便秘: 毛球が腸内に詰まると、便が出にくくなり、便秘の症状が現れることがあります。
- 過度の毛づくろい: 毛が飲み込まれる原因として、過剰な毛づくろいが挙げられます。猫が異常に毛づくろいをしている場合、毛球症が進行している可能性があります。
- 元気がない: 胃腸が不調を起こすと、猫は元気をなくし、活動量が減少することがあります。
毛球症の原因:
- 毛づくろい: 長毛種の猫や、毛が抜ける季節に頻繁に毛づくろいをする猫は、毛球症を発症しやすくなります。
- ストレスや環境の変化: ストレスや環境の変化が原因で、猫が過度に毛づくろいを行うことがあります。
- 健康状態: 皮膚の病気やアレルギー、腸内の健康状態も毛球症に影響を与えることがあります。
予防と治療法:
- 毛づくろいのサポート: 長毛種の猫には定期的にブラシをかけて毛が抜けるのを防ぎ、毛球が胃にたまりにくくします。特に換毛期には、こまめな毛のお手入れが重要です。
- 毛球用フード: 毛球症専用のフードやサプリメントを使うことで、毛球の形成を防いだり、胃腸の働きをサポートしたりすることができます。これらのフードは毛の排出を促進する効果があります。
- 毛球除去製品: 市販の毛球除去用のペーストやおやつを与えることも効果的です。これらは毛球の排出を助ける成分が含まれており、猫が自然に毛を吐き出しやすくなります。
- 水分摂取の促進: 水を十分に飲むことが大切です。水分が足りないと便が硬くなり、毛球が腸内に詰まりやすくなります。ウェットフードを与えることも水分摂取を促進する方法です。
- 定期的な健康チェック: 嘔吐や便秘が頻繁に起こる場合、毛球が原因である可能性がありますが、他の病気が隠れていることもあるため、獣医師による診察を受けることが大切です。
症例紹介
症例は頻回の嘔吐で来院した猫です。食欲はなくチュールなら少し食べる状態でしたが、水も吐いてしまう状態でした。
超音波検査では異物が疑われたため内視鏡を行いました。
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胃内には毛玉がありました。小腸内には毛玉が入り込んでいないことを確認して内視鏡にて摘出しました。

摘出した毛玉です。この毛玉が胃の出口に詰まって嘔吐の症状が出ていたようです。
もし急に嘔吐する、食欲がなくなるなどの症状が出たら、悪化する前に来院ください。早急に内視鏡や手術など対応いたします。