原因

橈骨および尺骨は、犬の前脚にある2本の長い骨で、これらが骨折する原因は、主に交通事故や高所からの落下、さらには衝突事故などの外傷によるものです。特に小型犬では、遊び中や興奮状態でのジャンプ後に、誤って脚をついてしまうことによっても発生することがあります。

治療

橈骨・尺骨骨折の治療には、外科手術が一般的です。特に、体重を支えるための前脚の骨折は、早期の整復と固定が求められます。治療法としては、プレートやピンを用いた内固定、または創外固定が選択されます。骨折の部位、骨の状態、犬種、年齢、体重に応じて最適な治療法を検討し、術後は通常2~4週間の包帯固定が行われます。

症例紹介

ある小型犬が、高所からの落下後に左前肢の疼痛と歩行困難を主訴に来院しました。レントゲン検査の結果、左前肢の橈骨および尺骨に骨折が確認されました。飼い主様との話し合いの結果、迅速な回復を目指して外科手術が選択されました。

手術では、プレートとピンを使用した内固定法を採用し、橈骨と尺骨を安定させました。骨折部分の整復が成功し、術後の経過も順調で、3週間後には包帯を除去し、歩行も改善してきています。高齢犬や特殊な状況でなければ、最終的にはプレートなどのインプラントは除去し元通りの骨の状態にします。プレートを除去するときには骨が再骨折しないように骨の移植をすることでより強固な骨になるようにしています。