脾臓の大型腫瘤について
脾臓(ひぞう)にできる大型腫瘤とは、脾臓に発生した大きなしこり(腫瘤)を指します。腫瘤の正体はさまざまで、良性(非がん性)のものから、悪性(がん)のものまで含まれます。
脾臓とは?
脾臓はお腹の中、左側の胃の近くにある臓器で、以下のような重要な働きをしています:
- 古くなった血液成分(赤血球や血小板)の処理
- 血液の貯蔵
- 免疫反応の一部を担う
脾臓に腫瘤ができるとどうなる?
腫瘤が大きくなることで、次のようなリスクが出てきます:
- 破裂による腹腔内出血(突然の虚脱やショック、命に関わることもあります)
- 他の臓器を圧迫する
- 食欲不振、元気消失、貧血などの症状が出る
考えられる主な腫瘤の種類
腫瘤が大きい場合、以下のような疾患の可能性があります:
- 血腫(けっしゅ):血の塊。良性だが破裂のリスクあり
- 良性腫瘍(例:線維腫、結節性過形成)
- 悪性腫瘍(例:血管肉腫、リンパ腫、組織球肉腫など)
※ 超音波やCTでも完全な判別は難しく、確定診断は摘出後の病理検査で行います。
治療について
腫瘤が確認された場合、**脾臓ごと腫瘤を摘出する外科手術(脾臓摘出術)**が推奨されます。
- 腫瘤が破裂する前の手術が理想的です
- 摘出後は病理検査を行い、腫瘤の正体を詳しく調べます
- 良性であれば、摘出で完治することが多いです
- 悪性の場合は、**転移の有無により追加の治療(例:抗がん剤など)**を検討します
症例紹介
症例は10歳の犬でお腹が大きくなってきたとの主訴で来院しました。超音波検査をすると腹腔内の殆どは脾臓腫瘤に埋め尽くされていました。すでに重度の貧血と血小板減少があったため緊急手術を行いました。
摘出後輸血を行い、数日入院をして元気な状態で退院しました。
なにか異常がありましたら早めに来院ください。