軟部組織肉腫について

軟部組織肉腫(なんぶそしきにくしゅ)は、犬や猫において比較的一般的に見られる非上皮系悪性の腫瘍の一種です。軟部組織肉腫のグループには線維肉腫、血管周皮腫、神経鞘腫、脂肪肉腫などの腫瘍が含まれており、それぞれ似たような特徴を持っているため軟部組織肉腫として一括りにされています。

検査

検査は細胞診(腫瘍から細胞を採取して調べる方法)や生検(腫瘍組織を切り取って調べる方法)、X線や超音波検査などが行われます。最終的には腫瘍が軟部組織肉腫であるかどうかを確定するために、病理検査が必要です。軟部組織肉腫のような非上皮系の腫瘍は細胞診による検査がしにくいことがあるため疑いがある場合は生検や摘出手術をお勧めすることが多くなります。

治療

症例は14歳6ヶ月の高齢のトイ・プードルです。後ろ足にできた大型の腫瘍の摘出手術を行いました。
今回は症例が高齢なこともあり、さまざまな麻酔を組み合わせて(マルチモーダル麻酔)手術を行いました。
また、飼い主様のご希望で断脚はせずに治療を行うことになりました。
軟部組織肉腫は腫瘍の外側広範囲を摘出する必要があり、今回の手術では腫瘍直下の筋肉の一部を摘出することで正常組織の範囲(マージン)を確保しています。

抜糸後の足の状態です。術後2日目からは通常通り足を着いて歩けるようになりました。

何か腫瘍など、できものが動物の体にできた場合はなるべく早くご相談ください。