顎骨骨折について

顎骨骨折とは、あごの骨(上あご・下あご)が折れてしまった状態をいいます。
交通事故や高いところからの落下、他の動物とのけんか、強く物を噛んだことなどが原因で起こります。また、歯周病が進行して骨が弱くなっている場合には、軽い力でも骨折が起こることがあります

どんな症状がみられますか?

顎の骨が折れると、次のような症状がみられることがあります。

  • 口を痛がって開けたがらない
  • 食べづらそうにする、食欲が落ちる
  • 口から出血している
  • よだれが増える
  • あごがずれて見える、歯の噛み合わせがおかしい
  • 顔を触られるのを嫌がる

なぜ治療が必要なのですか?

顎の骨は、食事をする・水を飲む・口を閉じるといった日常生活に欠かせない重要な役割を持っています。
骨折をそのままにしておくと、

  • 正常に食べられなくなる
  • 噛み合わせがずれてしまう
  • 痛みや感染が長く続く

などの問題が起こるため、早めの適切な治療がとても重要です。

治療方法について

骨折の場所や程度によって治療方法は異なります。

  • 軽度の場合
    ワイヤーや固定具を用いて顎を安定させ、安静と食事管理で治癒を目指します。
  • 骨折が大きい場合
    全身麻酔下で、プレートやワイヤーなどを用いた外科的な固定手術が必要になることがあります。

治療後は、骨がくっつくまで数週間の安静と、柔らかい食事が必要です。

 症例紹介

症例は12歳の猫で、家でゴルフクラブに当たり、それからご飯が食べられない、水が飲めないという状態でした。当院の初診時は受傷後3日目でした。

レントゲンを撮ると左の下顎骨が骨折しており、左右の下顎骨が結合するところも折れている状態でした。

画像は術前の状態と、術後の状態です。術前の状態では皮膚に内出血があり、ゴルフクラブが左下顎にあたっていることが分かります。

今回は2箇所で骨折していたため、骨の治癒速度を考え創外固定の手術を行いました。創外固定を行った術後の画像の状態では水も飲めるようになっています。

今回の症例では食べられなくなって3日後に手術をしていて、そこから栄養の補給を開始しました。食べられなかった期間が少し長かったため、肝リピドーシスを発症していましたが、それも入院中に良くなり、術後数日で退院しています。 顎の骨から出ている創外固定器具は骨が治癒する1−2か月後には抜去してしまいます。肝リピドーシスについて詳しくはこちらをご覧ください。

骨が癒合した後、創外固定ピンを抜去して治療終了です。

外傷や、歯の問題で顎の骨折は起こりやすいです。もし何か違和感があれば早めに来院ください。