犬の橈尺骨骨折について

橈骨と尺骨は、前足のひじから手首までを支えている2本の骨です。
この2本が折れてしまう状態を「橈骨尺骨骨折」と呼びます。

犬では、高いところからの落下、滑って転ぶ、交通事故などで起こることが多く、特に小型犬では軽い衝撃でも骨折することがあります


見られる症状

骨折すると、次のような症状が見られます。

  • 前足を地面につけない、かばって歩く
  • 強い痛みで鳴く、触ると嫌がる
  • 前足が腫れる、変な方向に曲がって見える

多くの場合、はっきりとした痛みと歩行異常が出ます。


なぜ治療が難しい骨折なのか

橈骨尺骨は、

  • 骨の周りの筋肉が少ない
  • 血流が乏しい
  • 2本の骨が同時に折れることが多い

という特徴があり、ギプスや包帯などの外固定だけでは骨がくっつきにくい骨折です。
特に小型犬では、治りが悪く、変な形でくっついたり、くっつかない(癒合不全)リスクが高くなります。


治療の選択肢

① 外科手術(おすすめされることが多い方法)

折れた骨を正しい位置に戻し、

  • プレートとスクリュー
  • ピンなどの金属材料

を使って骨をしっかり固定します。

メリット

  • 骨がくっつく確率が高い
  • 早く安定し、痛みが軽減しやすい
  • 将来的な歩行トラブルを防ぎやすい

② 外固定(ギプス・包帯)

ごく一部のずれの少ない骨折や、手術が難しい場合に選択されることがあります。

注意点

  • 骨がくっつかない可能性が高い
  • 長期間の固定が必要
  • 途中で手術に切り替わることもある

 症例紹介

症例は7か月の日本スピッツで、かかりつけでの手術が難しいとのことで来院されました。
橈骨のみ骨折の可能性とのことで、治療は創外固定も選択肢に入るかと思いましたが、実際にレントゲンを撮ると橈骨尺骨の両方が折れていました。

骨折している骨です。

骨を合わせたところです。

合わせた角度のままプレートを固定していきます。

来院当日に手術を行い、数日安静のため入院し、3日後に退院しました

骨折は、骨折してから時間が経つと癒合しづらくなってしまいます。早めにご相談ください。