症例カテゴリー
犬の中耳炎について
中耳炎とは
犬の耳は、外から外耳・中耳・内耳という構造になっています。
中耳炎とは、鼓膜の奥にある「中耳」まで炎症や感染が広がっている状態です。
多くの場合、外耳炎が長引いた結果、鼓膜が破れて中耳に細菌や炎症が及ぶことで起こります。
外から見えにくいため、気づかれにくい病気です。
こんな症状が見られます
- 耳を強く振る、しきりに気にする
- 耳を触ると強く嫌がる
- 耳だれ・強いにおいが続く
- 顔が傾く、ふらつく
- 口の動きが左右で違う(顔面神経麻痺)
※重症になると、平衡感覚の異常や神経症状が出ることもあります。
治療の考え方
中耳炎の治療では、
「薬を入れるだけ」では十分に治らないことが多いのが特徴です。
治療は以下を組み合わせて行います。
① 内服薬・点耳薬による治療
- 抗生物質
- 抗炎症薬
- 痛みや炎症を抑える薬
ただし、中耳の中に膿や汚れがたまったままでは、
薬が効きにくく、再発を繰り返す原因になります。
② 中耳洗浄(とても重要な治療)
中耳炎の治療で特に重要なのが中耳洗浄です。
中耳洗浄とは
- 鎮静、麻酔が必要になることがあります。
- 耳の奥(中耳)にたまった
- 膿
- 汚れ
- 細菌
を直接洗い流して取り除きます
中耳洗浄を行うメリット
- 薬がしっかり効く環境を作れる
- 炎症の早期改善が期待できる
- 再発リスクを大きく下げられる
- 手術を避けられる可能性が高くなる
中耳洗浄のリスク
中耳の近くには神経が通っているため、中耳洗浄を行うことで神経症状が出てしまう可能性があります。
ただ、犬ではそのリスクが低いと言われているため、状況によって中耳洗浄を行うことがあります。
※猫では中耳洗浄による神経症状の発症リスクが高いため、中耳洗浄は行わないことが多いです。猫は外耳の洗浄をしただけでも鼓膜が破れ、神経症状が出ることがあると言われているので、猫の外耳の処置をするときは注意が必要です。
当院では猫の耳の処置は細心の注意を払って行い、神経症状が出ないよう気をつけております。
治療期間と通院について
- 1回の洗浄で改善する場合もあります
- 重症例では、複数回の洗浄や長期内服が必要になることもあります
- 治療後も、定期的な耳のチェックが重要です
放置するとどうなる?
中耳炎を放置すると、
- 慢性化して治りにくくなる
- 内耳炎へ進行
- 顔面神経麻痺やふらつきが残る
- 最終的に外科手術が必要になる
といったリスクがあります。
症例紹介

症例は14歳のフレンチブルドッグで慢性的な外耳炎により外耳が狭窄して、中耳にも炎症が起きている状態でした。
フレンチブルドッグは外耳道の太さがもともと狭いので、外耳炎が起きると狭窄、閉塞が起きやすいです。
この症例では中耳炎に対して中耳洗浄を行うことで良好にコントロールができました。画像は中耳洗浄をしたことで中耳から取れた膿状の耳垢です。
外耳炎が治りづらい、中耳炎が治らないなど耳の症状がありましたらご相談ください。
