膝蓋骨脱臼(パテラ)について

膝蓋骨脱臼とは?

膝蓋骨(しつがいこつ)とは、膝のお皿にあたる骨のことです。
この骨は通常、太ももの骨とすねの骨の間にある**溝(滑車溝)**の中を、曲げ伸ばしに合わせてまっすぐ動きます。

膝蓋骨脱臼とは、このお皿の骨が本来の溝から外れてしまう状態を指します。
犬では**内側に外れるタイプ(内方脱臼)**が最も多く、小型犬に多く見られます。


どんな症状が出ますか?

  • 歩いている途中で急に足を上げる
  • 数歩スキップしたあと、何事もなかったように歩く
  • 重症になると、常に足をかばって歩く
  • 膝を触ると嫌がる、痛がる

軽い場合は一時的ですが、進行すると痛みや歩行障害が強くなります


膝蓋骨脱臼と前十字靭帯の関係

前十字靭帯とは?

前十字靭帯は、膝の中にあるとても重要な靭帯で、

  • すねの骨が前にずれすぎないようにする
  • 膝関節を安定させる

という役割があります。


なぜ膝蓋骨脱臼があると前十字靭帯に影響するの?

膝蓋骨脱臼があると、

  • 膝のお皿がずれる
  • 太ももの筋肉の力の向きがずれる
  • 膝関節全体が不安定な状態になる

その結果、前十字靭帯に通常より強い負担がかかります。

この状態が続くと、

  • 前十字靭帯が徐々に傷んで弱くなる
  • ある日突然、断裂してしまう

ということが起こりやすくなります。

👉 膝蓋骨脱臼がある犬は、前十字靭帯断裂のリスクが高いことが分かっています。


前十字靭帯が切れるとどうなる?

  • 突然、後ろ足を着かなくなる
  • 強い痛みが出る
  • 自然に治ることはほとんどない

多くの場合、外科手術が必要になります。


治療について

膝蓋骨脱臼の治療

重症度(グレード)や症状によって異なります。

  • 軽度
    • 体重管理
    • 運動制限
    • 必要に応じて内服薬
  • 中等度〜重度
    • 外科手術
    • 膝蓋骨が正しい位置を通るよう、骨や軟部組織を調整します

大切なポイント

膝蓋骨脱臼を適切に治療することで、

  • 痛みを減らす
  • 歩行を改善する
  • 前十字靭帯断裂のリスクを下げる

ことが期待できます。

 症例紹介

症例は1歳半のチワワで、脱臼の症状が間欠的に起きている状態でした。

溝を掘る前の状態です。

溝を掘ったあとの状態です。

滑車溝を掘って軟骨を被せる手術と、脛骨粗面を移植する手術を行って終了です。
この症例は手術後数日で脚が着ける状態で退院しております。