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心膜横隔膜ヘルニア(心膜腹膜横隔膜ヘルニア)について
心膜横隔膜ヘルニアとは、心臓を包んでいる袋(心膜)と、お腹と胸を隔てる膜(横隔膜)の一部に生まれつき穴や欠損があり、肝臓や腸などのお腹の臓器が胸の中、心臓の近くに入り込んでしまう病気です。
この病気は**先天性(生まれつき)**で、成長や外傷が原因で起こるものではありません。
症状について
心膜横隔膜ヘルニアは、症状がほとんど出ないまま長期間気づかれないことも少なくありません。
一方で、状態によっては次のような症状が見られることがあります。
- 元気がない、疲れやすい
- 呼吸が浅い、苦しそうにする
- 食欲不振、吐きやすい
- 成長不良(若い動物の場合)
症状の強さは、入り込んでいる臓器の量や位置によって大きく異なります。
診断について
診断は主に以下の検査で行います。
- レントゲン検査
- 超音波検査
- 必要に応じてCT検査
これらにより、心臓の周囲に本来あるはずのない臓器が存在することを確認します。
治療について
経過観察が可能な場合
- 症状がなく、臓器の圧迫が軽度な場合
- 高齢で、手術リスクが高い場合
このような場合は、定期的な検査を行いながら経過観察を選択することがあります。
外科手術が必要な場合
- 呼吸や消化に影響が出ている
- 将来的な悪化や突然の症状が心配される場合
手術では、胸に入り込んだ臓器を元の位置に戻し、欠損部分を縫い閉じます。
根本的な治療は手術のみとなります。
症例紹介
症例は7か月のシーズーで他院にて去勢手術をしようとしたら異常があるとのことで来院しました。かかりつけのレントゲンでは先天性心膜横隔膜ヘルニアが疑わしい状態でした。




CT検査では腹腔内臓器である胃、脾臓、肝臓、胆嚢、十二指腸が心臓の横にあるとのことで、ほとんどの臓器が胸腔内にある状態でした。
開腹をすると横隔膜には大きな穴が開いており、臓器が心臓横にある状態でした。
臓器を腹腔に戻すとその奥で心臓が動いているのが分かります。
通常はこの穴を塞いで終了なのですが、この症例は穴が大きく、また、へそから上の腹直筋も先天的に無い状態で、欠損部が大きく穴が塞げませんでした。
なので、腹腔内の、内腹斜筋を横隔膜の一部として使用し、横隔膜を閉じました。


術後の状態では臓器が腹腔内に戻っており、胸腔には心臓と肺がある正常な状態に戻せました。
この症例は出ていた臓器の量が多く、左肺が少し拡張不全になっていたので再拡張性肺水腫を防ぐ意味で、少しずつ胸腔の空気は抜いています。
術後翌日から元気な状態で、胸腔ドレーンが抜去できたら退院となりました。
横隔膜ヘルニアなど難易度の高い手術も受け入れております。症例でお悩みの場合はお問い合わせください。かかりつけの病院の動物病院関係者からの紹介も受けております。
