症例カテゴリー
紐状異物について
犬・猫の紐状異物とは?
~早期発見・早期治療が大切な緊急疾患です~
紐状異物とは、ひも・毛糸・リボン・釣り糸・糸・ヘアゴムなどの細長いものを飲み込んでしまうことで起こる病気です。特に猫で多くみられますが、犬でも発生します。
通常の異物と異なり、紐状異物は腸の一部に引っ掛かったまま腸が収縮を繰り返すため、腸が蛇腹状に縮み、最終的には腸に穴(腸穿孔)が開いてしまうことがあります。そのため、命に関わる緊急疾患です。
主な症状
次のような症状がみられる場合は注意が必要です。
- 繰り返す嘔吐
- 食欲不振
- 元気消失
- よだれが多い
- お腹を痛がる
- 排便が少ない、または出ない
猫では、舌の裏に糸が引っ掛かっていることもあり、無理に引っ張ることは非常に危険です。
診断
紐状異物はレントゲンだけでは見つからないこともあります。
当院では症状や身体検査に加え、
- レントゲン検査
- 超音波検査
- 血液検査
などを組み合わせて診断します。
治療
紐状異物は自然に排泄されることは少なく、多くの場合で手術が必要になります。
胃の中にある段階であれば、内視鏡で摘出できる場合もありますが、腸まで進んでしまった場合は開腹手術が必要となることがほとんどです。
腸が傷ついたり穴が開いたりしている場合には、傷んだ腸を切除してつなぎ合わせる手術(腸切除・吻合)が必要になることもあります。
飲み込んでしまったら
紐が口や肛門から見えていても、絶対に引っ張らないでください。
無理に引っ張ることで腸が裂けたり、さらに重い損傷を引き起こしたりする危険があります。
「もしかすると飲み込んだかもしれない」という段階でも、できるだけ早く動物病院を受診してください。早期に発見できれば、内視鏡で摘出できたり、腸へのダメージを最小限に抑えられたりする可能性があります。
当院から
犬・猫の紐状異物は、発見や治療が遅れると腸穿孔や腹膜炎を引き起こし、命に関わることがあります。
おもちゃのひも、裁縫糸、毛糸、リボン、ヘアゴムなどは、犬や猫にとって身近な誤飲事故の原因です。
「飲み込んだかもしれない」「何度も吐いている」「口から糸が見える」といった場合は、自己判断せず、できるだけ早く当院までご相談ください。緊急手術にも対応しておりますので、最短での手術が可能です。
症例紹介

症例は12歳のジャックラッセルで食欲低下、下痢、嘔吐により、かかりつけにて治療をしていたが、改善がないとのことで精査を行いました。
超音波検査では、紐状異物が認められました。
来院当日に緊急手術となりました。

麻酔をかけて挿管すると、口の中の舌に紐が引っかかっていて、食道の方に伸びているのが確認できました。
術中画像です。超音波検査でみられた、小腸が紐状異物によって手繰り寄せられているのが分かります。
術中画像です。紐は舌から始まり、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、回盲部、盲結口まで達していました。腸を切開したところから紐を取り出しているのが分かります。
胃内から紐の塊が出てきました。

このあと、胃内に異物が残っていないか確認して終了になります。画像は取り出した異物です。異物の正体はカーペットがほつれた繊維のようです。大量の異物が、食道、胃、腸から出てきました。
異物が詰まってから時間が経っていて、状態が改善するのには1週間くらいかかりましたが、退院して、無事に元気に過ごすことができています。

