糖尿病性ケトアシドーシスについて

**糖尿病性ケトアシドーシス(DKA:Diabetic Ketoacidosis)**は、糖尿病が重度に悪化したときに起こる、命に関わる緊急疾患です。

適切な治療を受ければ回復できる可能性がありますが、治療が遅れると命に関わることもあるため、早期の診断と集中治療が非常に重要です。

糖尿病性ケトアシドーシスとは?

糖尿病では、インスリンが不足したり十分に働かなかったりすることで、血液中の糖(血糖)が高くなります。

しかし、細胞は血糖をエネルギーとして利用できないため、代わりに体内の脂肪を分解してエネルギーを作ろうとします。

このときに**「ケトン体」**という物質が大量に作られます。

ケトン体が増えすぎると血液が酸性に傾き(アシドーシス)、全身の臓器に大きな負担がかかる状態が糖尿病性ケトアシドーシスです。

どのような症状が現れますか?

初期には糖尿病と同じように、

  • 水をたくさん飲む
  • 尿の量が増える
  • 食欲があるのに体重が減る

といった症状がみられます。

さらに病気が進行すると、

  • 食欲がなくなる
  • 繰り返す嘔吐
  • 元気がない
  • 強い脱水
  • 呼吸が速くなる
  • ぐったりして動けない
  • 意識がぼんやりする、意識を失う

などの症状が現れます。

このような状態は緊急性が高く、すぐに動物病院での治療が必要です。

どのように診断しますか?

糖尿病性ケトアシドーシスは、症状に加えて各種検査を組み合わせて診断します。

主な検査は、

  • 血糖値の測定
  • 血液検査
  • 尿検査(尿中ケトン体)
  • 血液ガス検査
  • 電解質(ナトリウム・カリウムなど)の測定

です。

また、感染症や膵炎などが引き金になっていることも多いため、必要に応じて超音波検査やレントゲン検査も行います。

治療について

糖尿病性ケトアシドーシスでは、多くの場合入院による集中治療が必要になります。

治療では、

点滴治療

脱水を改善し、血液循環を回復させます。

インスリン治療

短時間作用型インスリンを使用し、血糖値をゆっくり安全に下げていきます。

急激に血糖を下げると危険なため、慎重な管理が必要です。

電解質の補正

カリウムやリンなどが不足しやすいため、血液検査を繰り返しながら適切に補充します。

原因疾患の治療

膵炎や感染症、副腎皮質機能亢進症など、ケトアシドーシスの原因となった病気があれば同時に治療します。

入院期間はどのくらいですか?

状態によって異なりますが、多くは数日から1週間程度の入院が必要になります。

重症の場合はさらに長期間の治療が必要になることもあります。

血糖値だけでなく、脱水や電解質の異常、食欲の回復などを総合的に評価し、安全に退院できる状態を目指します。

退院後の治療

退院後は、

  • ご自宅でのインスリン注射
  • 食事管理
  • 定期的な血糖値のチェック
  • 定期健診

を継続して行います。

適切に管理できれば、多くの犬や猫が普段通りの生活を送ることが可能です。

糖尿病性ケトアシドーシスは予防できますか?

糖尿病と診断された場合は、

  • インスリンを決められた時間に投与する
  • 食欲や飲水量の変化を観察する
  • 嘔吐や元気消失がみられたら早めに受診する
  • 定期検査を受ける

ことが、糖尿病性ケトアシドーシスの予防につながります。

特に、糖尿病の犬や猫が食べなくなった、何度も吐く、ぐったりしている場合は、糖尿病性ケトアシドーシスを発症している可能性があります。早めの受診が命を守ることにつながります。

当院での糖尿病治療

当院では、糖尿病性ケトアシドーシスに対する入院治療や集中管理を行っています。

治療中は、血糖値だけでなく電解質や血液ガス、全身状態を細かく確認しながら、安全に治療を進めます。

退院後もインスリンの調整や食事管理を含め、長期的にサポートいたします。糖尿病や糖尿病性ケトアシドーシスについてご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。