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眼瞼の腫瘍について
犬の眼瞼(まぶた)は、目を保護するために重要な役割を果たしています。眼瞼に腫瘍が現れることがありますが、これにはいくつかの種類があります。腫瘍の性質や発生する場所によって、症状や治療法が異なりますので、早期に発見し、適切な対応をすることが重要です。
眼瞼にできる腫瘤の種類
- 良性腫瘍:犬の眼瞼にできる腫瘍の多くは良性です。代表的なものに「マイボーム腺腫」などがあります。これらは通常、周囲の組織に浸潤せず、進行が遅いことが多いため、生命に直接影響を及ぼすことは少ないです。ただし、腫瘍が目の表面の角膜に当たり続けていることで角膜に傷がつくことがよくあります。
- 悪性腫瘍:まれに、眼瞼に悪性腫瘍(がん)が発生することがあります。悪性腫瘍は進行が早く、近隣の組織に広がる可能性があるため、早期発見と治療が非常に重要です。例えば、「皮膚の悪性腫瘍」や「基底細胞腫」などがあります。
- 非腫瘍性疾患:腫瘍ではなくマイボーム腺炎などの非腫瘍性疾患もよくみられます。
検査
検査は針を刺して細胞を取る針生検がよく行われます。ただ、眼球のすぐ近くのため、検査は殆どの場合鎮静下で行われます。
治療
治療は外科手術が一般的です。確定診断は摘出した腫瘤を病理検査に出すことによって診断をします。
症例


症例は右の眼瞼に腫瘤ができた犬です。
麻酔をかけ、毛刈り、消毒をして手術の準備をします。


術後の状態です。術前にあった腫瘍を摘出し、細い糸で眼瞼を縫合します。縫合するときはまぶたの筋肉(眼輪筋)の縫合をし、皮膚の縫合をします。皮膚の縫合は縫った糸が眼球に当たらないような特殊な縫い方をします。
この症例は麻酔からの覚醒も良好で、日帰りで夕方には退院しました。眼瞼腫瘍の摘出手術は通常日帰りで行えます。
もしペットの眼になにか異常が診られたら早めにご連絡ください。