脊髄の髄膜腫について
脊髄の**髄膜腫(ずいまくしゅ)**は、脊髄そのものではなく、脊髄を包んでいる「髄膜」という膜から発生する腫瘍です。比較的ゆっくりと大きくなる腫瘍が多く、急激に悪化するというよりは、時間をかけて症状が進行するのが特徴です。
この腫瘍が大きくなると、脊髄を外側から圧迫するため、
- 歩きにくい
- 足に力が入りにくい
- ふらつく
- 痛みを示す
- 排尿や排便がうまくできなくなる
といった神経症状が出てきます。腫瘍ができる場所によって、前足・後ろ足のどちらに症状が出るか、また重症度も異なります。
診断について
脊髄の髄膜腫は、CT検査やMRI検査によって腫瘍の存在や位置、大きさを確認します。特にMRI検査は、脊髄や神経の状態を詳しく評価するのに非常に有用です。最終的な確定診断には、摘出した組織の検査が必要になる場合もあります。
治療について
治療の第一選択は、外科手術による腫瘍の摘出です。髄膜腫は境界が比較的はっきりしていることが多く、手術によって症状の改善が期待できるケースも少なくありません。
ただし、腫瘍の場所や大きさ、動物の年齢や全身状態によっては、手術のリスクが高い場合もあります。
手術が難しい場合や、完全に摘出できない場合には、
- 放射線治療
- 症状を和らげるための内科治療(痛み止め、炎症を抑える薬など)
を組み合わせて行うことがあります。
症例紹介
症例は他院で膝の靭帯の損傷が疑われて手術のために来院しました。当院で関節の検査、関節エコーを行った結果靭帯の損傷はみられず、神経症状がみられたため椎間板ヘルニアなどを含む脊髄疾患を疑い、MRI検査を勧めました。



検査の結果、脊髄に腫瘍が存在することが分かりました。境界明瞭だったため摘出手術を行いました。
今回の腫瘍は硬膜内髄外腫瘍でした。
椎骨の椎弓を切除して腫瘍があるところの硬膜を露出した状態です。
腫瘍にアプローチするために硬膜の切開をします。MRIでも認められていた腫瘍周囲の浮腫が肉眼でも確認できています。
腫瘍を摘出しているところです。
腫瘍を摘出したところは腫瘍により圧迫されていた脊髄が凹んでいる状態です。

術後の状態です。まだ麻痺は残っていますが、自力で立てています。歩き方がおかしいなど椎間板ヘルニアや、脊髄腫瘍が疑われるようであれば早めに来院ください。
