内科治療(外固定)のみでは難しい理由
ギプスや包帯などによる外固定(内科的治療)は、軽度の骨折では選択できることもありますが、
動物では外固定だけで十分な治療ができないケースが多いのが現実です。
その理由として、
- 動物は安静を完全に守ることが難しい
- 人よりも骨折部に強い力がかかりやすい
- 骨折のずれ(転位)やねじれを外側から完全に抑えることが難しい
- 固定が不十分だと
- 骨がずれたままくっつく
- 骨がくっつかない(癒合不全)
- 慢性的な痛みや歩行障害が残る
といった問題が起こる可能性があります。
そのため、多くの骨折では外科的に骨を正確に整復し、内部からしっかり固定する治療が必要になります。
外科治療の選択肢について
骨折の場所や状態、体重、年齢などを考慮し、以下のような手術方法を選択します。
手術費用は手術方法にもよりますが15万円〜になります。
① ピンニング(髄内ピン)
骨の中に金属のピンを挿入して、骨を内側から支える方法です。
特徴
- 比較的シンプルな手術
- 主に**長い骨(大腿骨、上腕骨など)**に適している
- 骨折部のずれを防ぎ、骨がくっつく環境を作る
注意点
- 回転やねじれの力には弱いため、
他の固定方法と併用することもある - 骨折の形によっては単独では不十分な場合がある
② プレートとスクリュー(内固定)
金属製のプレートを骨の表面に当て、スクリューで固定する方法です。
特徴
- 非常に安定性が高い
- 骨の位置を正確に整えられる
- 早期からの安定した回復が期待できる
注意点
- 手術の精度が重要
- 手術時間がやや長くなることがある
現在では、多くの骨折で第一選択となることが多い方法です。
③ 創外固定(そうがいこてい)
皮膚の外に固定器具を出し、ピンで骨を支える方法です。
特徴
- 開放骨折(皮膚が破れている骨折)
- 感染リスクが高い場合
- 骨や軟部組織の損傷が大きい場合
などで選択されます。
注意点
- 定期的な消毒や管理が必要
- 器具が体の外に出るため、違和感が出ることがある
どの治療法を選ぶかについて
骨折の治療方法は、
- 骨折の部位・形・重症度
- 動物の体重・年齢
- 生活環境や安静管理の可否
などを総合的に判断して術中に最終決定します。
すべての手術で、殆どの場合、インプラントは骨が治癒したら摘出していきます。
インプラントが入っているとインプラントに頼った骨の強度になってしまうため、骨自体が強くはなりません。
その状態で、インプラントが金属疲労によって将来折れた場合、かなり厄介な骨折になってしまいます。
(超小型犬、イタグレなど非常に骨折しやすい犬種はインプラント抜去を行わないこともあります。)
インプラントを抜去する時期は若齢(2歳以下くらい)で1−3か月程度 成犬老犬では6か月以上経ってから抜去します。
骨折手術に伴う主なリスクについて
麻酔に関するリスク
骨の治りに関するリスク
- 骨がくっつくまでに時間がかかる
- 骨が完全につかない(癒合不全)
- ずれた状態でくっつく可能性
多くの場合、術後の安静や管理が回復に大きく影響します。
インプラントに関するリスク
- ピンやプレートのゆるみ・破損
- 再手術が必要になることがある