症例カテゴリー
うさぎの精巣腫瘍について
精巣腫瘍とは、精子をつくる精巣の細胞が腫瘍化した状態です。うさぎでは発生頻度は高くありませんが、精巣の腫大や左右差、しこり、陰嚢の腫れなどをきっかけに発見されることがあります。
精巣腫瘍には、セルトリ細胞腫、セミノーマ、間質細胞腫などがあり、良性のものもあれば悪性のものもあります。腫瘍の種類によっては、周囲の組織への浸潤や、リンパ節・ほかの臓器への転移を起こす可能性があります。
診断と治療について
診断には、身体検査や超音波検査などを行い、必要に応じて血液検査や画像検査によって全身の状態や転移の有無を確認します。腫瘍の種類や良性・悪性を確定するためには、摘出した組織の病理組織検査が必要です。
主な治療は、全身麻酔下で精巣を摘出する外科手術です。腫瘍の状態や反対側の精巣の状態などを考慮し、片側または両側の精巣摘出を検討します。手術によって腫瘍を取り除ける可能性がありますが、腫瘍の種類や進行度によっては、再発や転移のリスクが残る場合があります。
うさぎの術後管理について
うさぎは、手術や麻酔によるストレス、痛み、環境の変化などをきっかけに食欲が低下し、消化管の動きが悪くなる「消化管うっ滞」を起こすことがあります。重症化すると命に関わるため、犬や猫以上に、術後の食欲や排便の管理が重要です。
術後は、体温や全身状態を確認しながら、適切な鎮痛管理と保温を行います。覚醒後はできるだけ早く自発的な採食を促し、牧草や普段食べ慣れている食事を与えます。自力で十分に食べられない場合には、状態に応じて強制給餌や輸液、消化管運動改善薬などを検討します。ただし、消化管閉塞が疑われる場合には、強制給餌を行う前にその有無を確認する必要があります。
ご自宅では、食べる量、便の量や大きさ、活動性を注意深く観察してください。また、傷口を過度に舐めたり、噛んだりしないようにし、腫れや出血、傷口が開くなどの異常がないか確認します。
術後に食べない、便が出ない、元気がないといった症状がみられた場合は、早急に動物病院へご相談ください。 うさぎでは短時間の食欲不振でも重症化することがあるため、早期の対応が大切です。
症例紹介

症例は9歳のうさぎで、精巣の大きさが左右非対称で片側が大きくなっている、陰嚢を気にしてかじっていて出血しているとの主訴で来院しました。
片側の精巣が大きくなっていて、陰嚢に裂傷があり、もう片側の精巣は小さくなっていて見にくくなっております。

術前に毛刈りをした状態です。右の精巣が左の精巣の10倍くらいのサイズに大きくなっています。

術後の状態です。精巣腫瘍側は精巣と一緒に、総漿膜と裂傷していた陰嚢も摘出しております。
